外の世界からいったん離れる。心を守る〝距離感のつくり方〟

外の世界からいったん離れる。心を守る〝距離感のつくり方〟

人と話したり、
仕事をこなしたり、
SNSで誰かの言葉を目にしたり。

私たちはいつも、
知らないあいだに
たくさんの「世界」と触れながら生きています。

それはとても豊かなことだけれど、
ときどき、心が追いつけなくなることがあります。

気づかれないまま
少しずつ疲れが溜まって、
ふっとした瞬間に
「なんだか苦しいな」と声が漏れてしまうような日。

でも、それは悪いことじゃなくて。
ただ 心が「すこし、静けさが欲しい」と言っているだけ。


いったん、外の世界から離れてみる。

それは逃げることじゃない。
負けることでもない。

それは、自分に戻るための、いちばんやさしい選択。


部屋の灯りを少しだけ落として、
やわらかな色だけを残す。

あたたかい飲み物を用意して、
毛布を膝にかける。

ゆっくり息を吸って、
それよりもゆっくり吐く。

その瞬間、
外と内の境界線が
静かに引き直されていきます。

世界はそこにあるけれど、
いまは、手を伸ばさなくていい。

いまは、ただ、自分に寄り添っていればいい。


もしできるなら、
その空間にふわりと香りを置いてみる。

強く主張しない、
澄んだ空気のような香り。

透明で、まっすぐで、
余計なものをまとっていない香り。

その香りは、
心のまわりにそっと薄い膜をつくる。

外の世界を拒むのではなく、
自分の内側を大切に包むための膜。

「ここにいていいよ」
「いまは自分を優先していいよ」

そんな合図のように。

香りは、
自分と世界のちょうどやわらかな距離を
そっと思い出させてくれます。


距離を置くことは、
誰かを遠ざけることじゃない。

自分の内側を
ちゃんと丁寧に扱うための時間。

外の音を閉ざして、
内側の声を聞くための余白。

その余白の中で、
心は深く、静かに、育っていく。


世界に向かうとき、
私たちはどうしても
「応える側」になってしまう。

だからこそ、
世界からいったん離れる時間は
「応えなくていい時間」。

「求められない自分」でいられる場所。

そして、そのときに気づくのは、

本当は、何も装わなくていい自分がいるということ。


外の世界は、いつでもあなたを待っている。
無理に繋がり続けなくてもいい。

いったん離れて、
やわらかい自分に戻って、
また歩きたくなったら戻ればいい。

心は、それでちゃんと回復する。

心は、ちゃんと知っている。
あなたがどうやって呼吸するのか。
あなたがどうやって戻ってくるのか。

だから大丈夫。
離れても、失われるものはない。

ただ、静かに整っていくだけ。


外の世界と、
自分の世界のあいだに
そっとやさしい距離を置くこと。

それは、
あなたが あなたを大切にする という、美しいしぐさ。

今日の夜、
もし疲れていたら。

灯りを落とし、
毛布をかけ、
香りをひと吹きして。

世界から、すこしだけ離れてみてください。

そこに戻ってくるのは、
いつもより静かで、
いつもより深くて、
いつもよりやさしいあなたです。

 

外の世界と内の世界のあいだで

ときどき、
「距離を置くことに、罪悪感を感じてしまう」
という人がいます。

連絡を返さなかったり、
誰かの期待に応えられなかったり、
世界のスピードに追いつけなかったり。

そのときに、
胸の奥がきゅっと固くなるような感覚。

でもね、
その感覚は、あなたが “やさしい” から生まれたものです。

人にも、自分にも、
ちゃんと丁寧であろうとするからこそ、
心が少し痛むのです。

だから、
その罪悪感さえも、やさしく扱ってあげてほしい。

「ごめんね」ではなく、
「大丈夫だよ」と。


心には、
外に向かって開いていく季節と、
内側へと戻ってくる季節があります。

どちらも必要で、
どちらも美しい。

けれど私たちは、
“開いている時” だけが正しいように思ってしまう。

誰かと話せている時、
がんばれている時、
ちゃんと応えられている時だけ、
「私らしい」と思ってしまう。

でも本当は、
心は 閉じている時のほうが深く育っています。

静かな夜、
一人でいる時間、
外の音が遠ざかっていく瞬間。

そのとき、
あなたは “弱い” のではなく、
深くなっているところ。


心を守る距離感とは、
世界を拒む壁ではなくて、

内側にあたたかく灯りをともすための、静かな幕。

その幕は、
誰にも見えないくらい薄くて、
でも、ちゃんとあなたを守っている。

透明で、
触れようとすると消えてしまいそうな、
静かな優しさでできている。

その幕があることで、
あなたは世界とちゃんとつながりながら、
自分を失わずにいられる。


距離を置くことは、
「ひとりで耐えること」ではなく、

自分にとって居心地のいい速度に戻ること。

急がなくていい。
追いかけなくていい。
並ばなくてもいい。

世界と同じリズムで生きなくていい。

あなたが呼吸できる速度で、
ゆっくりと歩けばいい。

その速度でしか見えない景色がある。

その速度でしか感じられない温度がある。

あなたは、
あなたの速度で、
ちゃんと生きている。


そして、
もうひとつ大切なことがあります。

「距離を置いたあとの世界は、前よりやさしく見える」ということ。

心が静かに整ったあとは、
人の声がまっすぐに届く。

景色が少し柔らかく見える。

言葉がとげを失う。

世界は変わっていなくても、
受け取る心が透明になっている。

だから、
いったん離れていい。

離れたぶんだけ、
戻った世界はやさしくなる。

あなたが弱かったからじゃない。

あなたが丁寧だったから。


毛布に包まれた夜、
灯りが小さな島のように部屋を照らしている時間。

その中で、
香りが静かに漂っている。

その香りは、
「ここにいていいよ」という言葉のない言葉。

世界が少し遠のいて、
自分が少し近づいてくる。

その距離感の中で、
心は息を吹き返す。

あなたは今、
ちょうどいい場所にいる。

 

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